『Silver.moon』





「あーーーっいそがしぃ!!」

今日も忙しく空を飛び廻る霊界案内人

人間ならば週5、6日働いて1日休めるが

霊界案内人には休みなんてものは

殆ど無いに等しい

人の死は朝、昼、晩、関係無く訪れるだから、、、、




「あ〜〜、もうこんな時間かぁ。」

時計の針はPM8:47を指していた

「はぁ、、、、。本当は今日蔵馬とのデートだったのになぁ、、、、。」




今朝までは幸せだった

1週間前蔵馬から電話があり

「映画のチケット取れたんですけど、一緒に行きません?」

もちろん私はすぐOKしたよ

久々のデートだし

何を着て行こうか迷っちゃたり、たまにはメイクして蔵馬を驚かしちゃお うか♪なーんて事考えたり

この1週間

蔵馬とのデートをとても待ち遠しく過ごしていた

幸せだった

今朝緊急の死者が出るまでは、、




「え、今日のデート無理?」

「本っ当にゴメン!!今日緊急に死人が出ちまってさぁ。」

「ああ、、そうなんだ。」

「ゴメンよ〜〜、蔵馬、、せっかくデートに誘ってくれたのに、、、。」

「いいよ、気にしないで仕事なんだから。」




「はぁ、、、、、。なんでよりによって蔵馬とのデートの日に、、、、。 」

とは言っても人の死は待ってはくれない

365日誰かがこの世に生まれては

誰かは死んであの世に連れて行かれる

それがこの世界の道理なのだから、、、




「、、、、、蔵馬、今頃どうしてんのかねぇ。」

電話でああは言っていたものの

あたしが蔵馬よりも仕事を優先したのは事実

まさか、そんな女々しいコトを蔵馬が言うとは考えられないけど

やっぱり気にはなる

私は蔵馬の住んでいる街の方へオールを向けた




暫くすると蔵馬の住んでいる家が見え始めてきた

あと数十メートルで蔵馬の部屋に辿り着く

その時

私は異様な雰囲気を感じ取った




「これは、、、、妖気!?」

最近の人間界ではそうは珍しくも無いが

この妖気は違った

禍々しくも重く暗い妖気、、、、

まるで漆黒の闇を全て集めたような

そんな妖気、、、




でも

私は不思議と怖くは無かった

それどころかとても暖かな空気に満ち溢れてる

そして聞こえた

私を呼ぶ声が

私はオールを妖気の感じた方向へと変えた




小さな公園の池のほとり

一人の男が立っていた

月の明かりに照らされた長い影は

月を剥ぎ取りそうな目つきで空を睨みつけていた




「蔵馬っ!!」

睨みつけていた

空から聞こえてきた

聞き覚えのある声

「、、、、、、?」

「蔵馬っ!!!」




そこに居たのは

かつて魔界と霊界に追われていた

銀髪の妖怪




妖狐蔵馬




「!!、、、、、蔵馬!?」

「、、、、、、。」




「蔵馬っ!、、、どうしたのさ、その姿?」

「、、、、別にどうもしない、これが俺の本当の姿なのだからな。」

「、、、そ、そりゃぁ、そうだけど。」

「何だ?」




「びっくりしたよ〜。いくらこんな時間帯とはいえ妖狐の姿で街にいるん だもん。」

「俺は、、、お前の方に驚いたぞ。」

「え?なんでさ??」

「この姿でいるのに物怖じせず、俺に話しかけるのだからな。」

「そうかい?」

「まぁ、、、お前のコトだから何も考えていないんだろうが。」

「!!、、なっ、なにさっ、それ!!」

「、、、、あまり大声を出すな、誰か来るかも知れんぞ。」

「あ、、、、ゴメン。」




「一体、どうしたのさぁ?妖狐の姿に戻るなんて」

「、、、、月が悪い。」

「え?」

「今夜は満月だろう、、俺は月に1,2度ほど妖狐の姿に戻りやすくなる んだ、、、、特に月が満ちる日あたりはな、、、、。」

「あははっ、狼男みたいやねぇ。」

「、、、、、、。」

「あ、、、ゴメン。」




「、、、、、なんで、お前はこんな所にいるんだ?」

「え?、、、あっ、ああそれは。」

「何だ?」

「蔵馬に謝りたくて来たんだよ、ほら、今日デートだったろ?それなのに 仕事でつぶれちゃって、、、。」

「電話でも言ったろ、気にするな。」

「でも、、、。」

「、、、、、お前は優し過ぎるからな。」

「え?」




「お前が俺よりも仕事を優先したのは、その死人がちゃんと成仏できるか どうかが心配だったんだろう、それに、、、、。」

「なにさ?」




「そう、お前の顔に書いてある、、、、、お前は単純で解りやすいからな 。」

「なっ!なんだい、単純扱いしないでおくれよ!!!」

蔵馬はぼたんの唇を自分の唇で塞いだ

「!んんっ、、、、。」

蔵馬はぼたんの唇から離れると

「黙れ、、、、誰か来たらどうする?」




「//////蔵馬ぁ!!やり方ってもんがあるだろ!!」

「もう一回するぞ。」

「、、、、、、、。」

「解ったか?」

「、、、、はい、、。」




「、、、、許してくれるのかい?」

「しつこい女だ、、、気にしていない、、、それに。」

「それに?」

「今ので十分だ。」

「/////そ、、、、そう。」

「、、、、お前は本当に解り易いな。」

「だーかーらー!!!」

「大声出すな、、、、今度はキスだけじゃないぞ。」

「え゛っ!?」

「お前がさっきから大声だすからな、、、、人の気配が近づいてきてる、 、。」




「、、、離れた方がいいな。」

「蔵馬?わっっ!!」

蔵馬はぼたんを抱き上げあっという間に

空へ翔けあがって行った




「くっ、蔵馬!どこ行くのさぁ!!」

「、、、、さあな、、、とりあえず、人のいない所がいいだろう。」

「く、、、、蔵馬?(汗)」

「、、、大声だすお前が悪いんだからな。」

「えーーーーーっっ!!!!!ちょっ、ちょっと離しておくれよ蔵馬ーー ーーーーっっ!!!!!」






END







水神 雫様からいただきました♪

こちらの小説も雫さんのサイトがお引越しされた際のお引越し記念として、
ある期間限定でフリーだったものを頂いてきましたvv
こちらは妖ぼ月夜のデート話vなのですが、妖狐の、ぼたんに対するさりげない優しさが良いです〜vv
そしてまた強引なトコロがvv(*>∇<*)
あのあと2人がどうなったのか、、、めっちゃ気になる〜!!
私の予想では、、、──────────── …(爆)

雫さん、本当にありがとうございました!



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